不用額約120億円。監査委員は「重く受け止めている」――港区の予算積算と制度設計を問う

令和7年度港区議会決算特別委員会、初日かつ一番初めの款別審議は「決算等審査意見書」。
それについて監査委員に質問しました。
今回、私が最初に取り上げたのは、約120億円にのぼる「不用額」です。
港区の令和7年度一般会計では、不用額が約120億円に達し、予算の執行率は3年連続で95%を下回りました。
「不用額」は節約額でも経費削減額でもありません
まず、区民の皆さまに知っていただきたいのが「不用額」の意味です。
不用額とは、予算として計上したものの、結果として支出されなかった金額のことです。
不用額約120億円は、120億円を節約した、あるいは経費削減したという意味ではありません。
もちろん、事業の効率化や契約差金などによって、結果的に支出が抑えられる場合もあります。
一方で、事業の利用者が想定を下回った、対象者数の見込みが適切でなかった、制度が利用しにくかった、周知が十分ではなかったなど、さまざまな理由によって不用額が生じることもあります。
だからこそ、私が問題視しているのは、不用額が発生したこと自体ではありません。
なぜ、約120億円もの不用額が生じたのか。予算の見積もりや制度設計に甘さはなかったのか。
その背景を検証する必要があると考えています。
監査委員に多額の不用額への評価を質問
決算特別委員会では、監査委員に対し、多額の不用額をどのように評価しているのかを質問しました。
また、単に事業実績が見込みを下回ったとして終わらせるのではなく、次のような点まで検証する必要があるのではないかと見解を求めました。
● 予算積算の精度は適切だったのか
● 事業の対象者設定は妥当だったのか
● 区民ニーズを的確に把握できていたのか
● サービスの内容や周知方法に課題はなかったのか
● 制度設計や事業運営そのものに改善すべき点はなかったのか
これに対し、監査委員からは、非常に重要な答弁がありました。
「その予算を生かして区民に還元する目的を十分に達成できなかったという結果になり、監査委員としては重く受け止めております」
さらに、予算積算の精度や対象者設定の妥当性、的確なニーズ把握、サービス内容や周知方法など、制度設計や運用面に課題がなかったかという視点も重要であるとの見解が示されました。
そして、
「不用額の増加を単なる執行残として見過ごすのではなく」
その背景にある制度設計や事業運営上の課題を検証し、限られた財源が最大限有効に活用されるよう、引き続き厳正な審査に努めるとの答弁がありました。
財政力がある港区だからこそ、予算の精度と事業の成果を問う
港区は財政力のある自治体です。
だからこそ私は、大きな予算を組むこと自体が行政の成果になってはいけないと考えています。
必要な予算を的確に見積もること。
区民ニーズを踏まえた制度を設計すること。
必要としている方にサービスを届けること。
そして、実際にどのような成果につながったのかを検証すること。
予算を計上しても、制度が十分に利用されず、必要なサービスが区民に届いていなければ、行政としての目的を十分に達成したとはいえません。
もちろん、すべての不用額が制度設計や予算積算の問題によるものではありません。
しかし、約120億円もの不用額が生じ、執行率が3年連続で95%を下回っている以上、その要因を丁寧に分析し、改善すべき点を明らかにすることが必要です。
「予算をつけた」で終わらせない。
「使わなかった」で終わらせない。
区民の皆さまからお預かりした税金が、本当に必要な区民サービスとして生かされているのか。
決算審査で明らかになった課題を、次の予算編成や制度設計、行政サービスの改善につなげていきます。
港区議会議員 やなざわ亜紀